大会長挨拶

大会長 吉武良治
会員の皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、一般社団法人日本人間工学会第 56 回大会を芝浦工業大学芝浦キャンパスにて開催する運 びとなりました。昨年は学会設立 50 周年記念大会として神戶市にて開催し、今年は 51 年目の新たな 一歩となります。今年の大会の主要テーマとして、「人間工学とデザイン」を設定させていただきました。こ れは、大会会場の地である東京都港区芝浦が「東京高等工藝学校創設の地」であり、国内の工業デ ザイン教育に関連の深い場所であること、そして開催場所の芝浦キャンパスは、デザイン工学部の学生が 学ぶキャンパスであることから、これからの時代の人間工学とデザインの関わりをあらためて見つめ直すこと ができればと考えてのことです。

「デザイン」の語源は、ラテン語の designare に由来し、「指示する、計画をたてる、スケッチをする」とい うような意味を持っています。すなわち、計画・意図・構想・設計・図案などがデザインと位置づけられます。 「形や色を施すこと」として狭義な意味で用いられることが多かったですが、最近では語源に近い意味でも 活用されており、人間中心設計(Human Centered Design)やデザイン思考というキーワードを目 にすることも多くなりました。人間工学は、この狭義、広義の両者のデザインと欠かせない関係であることは 言うまでもなく、様々な”デザイン”に貢献してきました。モノのデザインはもちろん、コトのデザイン、そして最 近注目されているサービスデザインや UX デザインなども人間工学が深く関わっています。特別講演やシン ポジウム、市⺠公開講座などで人間工学とデザインに関連するセッションを企画していますので、これまで の関係や今後のビジョンをあらためて考える機会にしていただければと思っています。

一般社団法人日本人間工学会 第 56 回大会

大会長 吉武 良治