アクションプラン
2009年度報告及び2010年度計画について
一般社団法人日本人間工学会理事長 斉藤 進
2010年7月
一般社団法人日本人間工学会(以下、学会)は、2008年12月に施行された一般法人法に従い、2009年7月1日から法人第1期としての新しい活動を開始しました。任意団体日本人間工学会は、1964年の設立以来これまで17期45年間に亘り活動してきましたが、すべての事業及び財産等を新たな法人としての学会へ譲渡することにより2010年3月末で解散致しました。学会は、2010年6月に開催した第51回大会時の第1回定時社員総会終結時から、2012年6月までの第2期活動を開始しています。 理事長として掲げている学会活動の目標は、人間工学を社会常識とすることであり、社会ニーズ及び学術ニーズに沿った存在感のある学会を指向することです。そのことにより、安全で健康な社会を実現するために人間工学が貢献することができるからです。学会による良好実践事例データベース(GPDB)事業等、サクセスストーリーの蓄積と展開が、これらの目標を具現化した事例です。また、人間工学実践家及び若手会員等を積極的に活用し、学会を担う次世代人材を育成し学会活性化を図ることは、前期に引き続き最も重要な喫緊の課題と考えています。
2009年度の活動について
長期的かつ継続的に事業を行う常設委員会・担当は、広報、編集、国際協力、ISO/TC159、表彰、日本学術会議、横幹連合、専門家認定機構等、各々の事業を積極的に推進することができました。なかでも、学会誌「人間工学」を1965年の創刊号からすべてを電子公開し、Journal@rchiveやJ-STAGEへ掲載したことは、学会員の業績を未来へ引き継ぐ画期的な事業です。安全工学シンポジウム2009の開催、横幹連合機関誌の編集、専門家資格の再認定、韓国や台湾等の人間工学会との積極的な連携強化、国際人間工学連合PSE委員長への就任等々、国内外で学会の存在感を示すことができました。
特定の目標と期間を定め、成果を組織的に活用するために、臨時委員会・担当を設置しています。2009年度の成果として特筆すべきことは、ニーズ対応型人間工学展開委員会が広報委員会と連携し進めている「企業の架け橋プロジェクト」など産学官民連携事業と、名実ともに一新した学会ホームページのリニューアルです。ともに学会法人化を契機に立ち上げた新事業であり、2010年度も引き続き積極的な活動を展開して行きます。「人間工学研究のための倫理指針」や「2010年版ノートPC利用の人間工学ガイドライン」や各委員会成果報告書等の発行は、学会活動を社会に活用して頂くために有用な資料と考えています。いずれの成果も、学会ホームページで公開しています。
2010年度の活動について
学会は、一般社団法人となったことを契機に、社会的責任を一層果たすことを宣言しています。常設委員会・担当により活発な事業を継続するとともに、臨時委員会・担当としてIEA/PSE委員会活動支援、子どもを視座にした人間工学、研究倫理審査、Webによる情報発信戦略、安全人間工学の再興、等々の新たな活動を計画し実施しています。
2010年度に活動している委員会や担当等の一覧を表に示しました。今後とも、国内外の関連機関やNPOとの連携等々、社会へ向けた人間工学の展開を実践したいと考えています。近未来の社会を担う若手人材育成等とともに、人間工学の実践と活用など学会が本来果たすべき役割を認識し、安全で安心できる社会実現に学会が貢献できると信じています。これら学会が行う諸事業に対し、多くの方々のご協力とご支援を賜りますよう、改めてお願い申し上げます。
日本人間工学会2010年度 委員会/担当等一覧
委員会/担当名称 | 担当理事・委員長等 | 活動のポイント |
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総務担当 | 八田一利、外山みどり | 学会運営の執行管理 |
財務担当 | 三林洋介、岡田 明* | 財務管理と経費節減、*学会財政に関する中長期計画等の提案 |
広報委員会 | 吉武良治、下村義弘 | 新HPの運用推進、GPDBによる実践例公開、架け橋プロジェクト推進 |
編集委員会 | 小松原明哲、三澤哲夫 | 学会誌の編集と発行、査読の効率化、HP充実、掲載論文の電子化 |
国際協力委員会 | 堀江良典、小谷賢太郎 | 国際人間工学連合・日韓共同シンポジウム等、国際協力活動の推進 |
ISO/TC159国内対策委員会 | 横井孝志、吉武良治 | ISO/TC159に関わる規格の提案・作成・審議、JIS規格案作成と普及 |
表彰委員会 | 阿久津正大、矢口博之 | 表彰制度の見直しと整備、各賞受賞候補者の選考、HP開設と広報 |
日本学術会議担当 | 大須賀美恵子、芳賀 繁、青木和夫 | 学術会議との連携拡充及び安全工学シンポジウム2010への協力 |
横断型基幹科学技術 研究団体連合担当 |
青木和夫、山本栄、酒井一博、加藤象二郎 | シンポジウム・会誌編集・産学連携事業等へ参加、学会員への広報 |
人間工学専門家認定機構 | 青木和夫、福住伸一 | 認定・再認定実施、講演会・シンポジウム開催、GPDBやIEAへ協力 |
委員会/担当名称 | 担当理事・委員長等 | 活動のポイント |
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国際人間工学連合PSE担当(新設) | 藤田祐志 | IEAにおけるGPDB普及活用及び資格認定制度標準化へJES支援 |
子どもの人間工学委員会(新設) | 小松原明哲 | 子どもに関わる人間工学課題の整理、HPや大会等での成果発信 |
研究倫理審査検討委員会(新設) | 横井孝志 | 研究倫理審査に関するニーズや事例・審査体制調査、要件の検討 |
ニーズ対応委員会(新設) | 榎原 毅、岩切一幸 | Webによる情報発信戦略展開と産学官民RDB整備、IEA/PSE支援 |
安全人間工学委員会 | 芳賀 繁、首藤由紀 | HP開設、研究部会連携、大会パネル「安全人間工学再興」企画 |
企業の人間工学教育のあり方検討委員会 | 酒井一博、易 強 | 企業の人間工学教育の実践、シラバス及び履修モデル見直し |
テレワークガイド委員会 | 吉武良治、北島洋樹 | テレワーク支援ツールの調査と整理、ノートPCなど関連ガイド検討 |
人間工学技術戦略委員会 | 藤田祐志 | 技術戦略ロードマップ活用に関する検討を継続、理事会への提言 |
人間工学研究ガイドライン検討委員会(終了) | 横井孝志 | 人間工学分野の規範的な実験倫理指針を学会として公開 |
選挙管理委員会(終了) | 八田一利 | 一般社団法人日本人間工学会代議員及び役員選挙の実施 |
文科省科研費担当 | 斉藤 進、青木和夫 | 時限付き分科細目表のフォロー、人間工学普及のための方策提案 |
第51回大会担当 | 横山真太郎 | 大会を2010年6月に開催 |
第52回大会担当 | 河合隆史 | 大会を2011年6月に開催 |