9.4 方向性及び運動方向通則(ISO 1503:1977のJIS対応) JIS Z 8907:1985 | |
本規格はISO1503対応の国内規格であり、JENC誕生因縁の規格である。松浦四郎氏が1963年、イギリスで開催された ISO/STACO(標準化原理委員会)で方向の国際標準化が必要であると提唱したことに始まる。国際規格が出来てから遅れること8年目にして日本は当の提唱者本人をJIS化委員会委員長に迎えて 国内規格化に着手したのであった。その頃ヨーロッパはこの規格の使命は終わったと、登録抹消提案が出ていた。元がなくなると困る日本は会議で抹消反対を主張、その代案としてSTACOからTC159へ移行という案を飲まざるを得ず、当時Oメンバーだった日本は急遽代案に整合させる必要から工技院の強い薦めの元、日本人間工学会がTC159の審議団体としてPメンバーになるように薦められ、日本代表は1503改訂作業を約束し、抹消は免れた由。当時の事情はそのまま現在に引き継がれている。JIS化は原文を翻 訳をした上で国内規格として独自の編集を行った。筆者も林委員長の推薦を受けて委員の一人として参加した。欧米は読者にわかりやすくと言う哲学があり、理屈を丁寧に例示しながら説明するが、日本では理屈説明や例示は不要で規格の核心部分が簡潔に明記されていればよいとの哲学であった。そのため構成はほぼISO1503に準拠しているが日本独自に縮小した部分があり簡素化された。その核心部分である制御要素の第1、2、3、4原則は全く同じ扱いである。人間工学で言うところのステレオタイプ原則である。ISO制定の1977年に対して1985年にようやく国内規格化された。 | |