6.8 制御室の人間工学的設計−制御室の設計原理

ISO/CD 11064-1
Ergonomic design of control centres−Part 1:Principles for the design of control centres

規格内容概要:ISO 11064シリーズ全体に関する最初のパートであり、人間工学的設計の考え方や手 順を設計に関係する人間工学の専門家でない技術者にも判るようにフローチャートや図表を盛り込んでいる。人間工学的設計で重視すべき要点は人間中心設計、エラー対応設計、ユーザ参加型設計、フィードバックの繰り返し、タスク分析の実践などである。

審議経過概要:我々日本が提案する最初の本格的人間工学国際規格である。設計原理のポイントを巡ってWD段階で長時間を費やした。最終CD案をSC4事務局(BSI)に送付し、3ケ月投票(9/13〜12/13)に入った。投票ではオランダのアンフェアーな事前妨害にあったが、投票11ケ国中賛成8ヶ国、反対3ケ国(米国、英国、オランダ)で無事通過し正式にCDとなった。各国から寄せられたコメントを逐一WG8の国内委員が検討し、修正案を第20 回のドイツ会議、及びオランダでのデルフト会議で提出した。反対投票した英・蘭の2国が自国の意見を全面的に採り入れるように強く主張、エディターと対立した。エデイターは可成りの部分2国の意見を反映したが納得せず、WG8事務局は編集会議なる手続きを提案、これに即して1998年11月プロジェクト・リーダー(堀野)、強い反対意見を表明し続けているオランダ、イギリス代表がWG8事務局が編集委員となりSC4事務局、そしてBSIから規格専門官が追加参加してロンドンBSIに集まり2日間逐条的な詰めの会議を行った。強い反対を表明していた2国代表も会議の合意を受けて次のDIS投票に向けて鋭意準備中である。

日本の対応:ゼロから日本がドラフトを起草し、CDまで漕ぎ着けた。これから本番である。毎回日本の積極的参加に対して外国勢から評価されている。我々が主張してきた世界規格としてグローバル視点から設計手続きを捉え人間中心の人間工学原理を反映させる取り組みの意義に対して徐々に認識は高まりつつある。国際的な合意形成と口で簡単に言うが規格原案のエディターという仕事が心理的にどんなにきついかを身を以て体験中である。

堀野 記



ISO/TC159 国内対策委員会
Last modified: Jun 12 1998