4.1 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−キーボードの要求事項

ISO/FDIS 9241-4
Ergonomic requirements for office work with visual display terminals(VDTs)−Part 4: Keyboard requirements

規格内容概要:キーボードが人間工学上満たさなければならない要求事項を記述した規格である。要求事項は、パームレスト、キーボードの高さなどキーボード形状全体に関するものと、キーの大きさやタイプしたときのキーの重さ、ストローク深さなどキースイッチのデザインに関するもので構成されている。キーボード配列に関しては、ISO/IEC 9995 を参照している。約20項目にわたる人間工学上の要求事項とそれらの測定方法を定めている。また本規格の要求を満たさないキーボードのためのユーザビリティ試験方法を参考として定めている。

審議経過概要:1997年1月の第3回 DIS投票において、賛成国は13/18(Pメンバー国のみ対象)で基準(66.7%以上)を満たしていたが、反対国が 6/22(Oメンバー国も含む)と基準(25%以下)よりも多かったため僅差で否決された。その結果を受けて1997年6月にフィンランドのタンペレで WG3会議が開催され、第4版DISドラフト作成のための審議を行った。しかしながら、その後第3回投票時に棄権とみなされていたオランダとスウェーデンの投票が有効(両国とも賛成投票)であったことが発覚し、反対国が 6/24(25%以下)となったため、1997年9月に異例の措置として第3回 DIS投票は可決との判定 に覆った。したがって FDIS段階へ進むこととなり、1998年4月19日投票期限で FDIS投票が行われた。

日本の対応:日本は人間工学的な実験データを示しながら、第1回〜第3回の DIS投票で反対してきた。投票を重ねるたびにキーボード傾斜角の要求値やパームレストの大きさの要求値などにおいて日本の要求が少しずつ受け入れられてきたが、拡散反射率 が低い(黒い色の)キーボードの利用が認められないこと、キートップの大きさやキースイッチの押下特性に関する記述などが不十分であること等の重要な項目で意見が反映されていなかったため反対し続けてきた。1997年6月の WG3タンペレ会議において、 実験データを示しつつ日本の意見を解説した。その結果として、FDISドラフトにおいては、拡散反射率の要求など重要なコメントを含む7割以上の日本のコメントが採用された。FDISドラフトでは、重要項目がすべて採用されたため、1998年4月の FDIS投票では賛成投票を行った。

吉武 記



ISO/TC159 国内対策委員会
Last modified: Jun 12 1998