3.27 音声伝達の人間工学的評価 −健常者が行う機器を介さない会話での会話妨害度と伝達距離 (SIL法) ISO 9921-1:1996 Ergonomic assessment of speech communication−Part 1:Speech interference level and communication distance for persons with normal hearing capacity in direct communication(SIL method) | |
普通の聴力を持った人同志がイアホン、拡声器などを用いずに直接生の声で会話を行う場合において、周囲騒音がある中でどの程度明瞭に会話を理解できるか騒音環境を評価する指標として会話妨害度(SIL)がある。この規格では中心周波数500、1000、2000、4000 Hz の4帯域の騒音音圧レベル(A特性)の算術平均値を SIL値とする。又、オクターブ帯域の音圧レベル測定が出来ない場合に会話を聞き取る側での音圧レベル値から 8db を引くことで近似することもできるとしている。更に、話す側の努力度合い(リラックス普通、大声、叫び声など)を7段階に分け、明瞭な会話を行うのに必要な伝達距離の算出を周囲騒音毎に簡単にできる式と図が示されている。現場での利用を考慮した実用的な騒音評価規格である。尚、本規格案は3部構成で第2部ではより正確な予測を目的とする MAI法、第3部では音響通信機器を用いた間接的な会話を行う場合の安全条件を扱っている。 規格原案の投票は1992年9月から1993年3月までの6ヶ月間実施された。理由不明のまま投票結果が各国に送付されたのが1995年8月で時間が掛かりすぎた。1996年 FDIS投票が行われ賛成多数で承認されISとなった。国際活動の活性度が低いこともあり JENCでは ISO/TC159/SC5/WG3(危険信号)の分科会は長い間未組織で国際エキスパートも登録していなかった。従って動向把握が十分ではなく国内的には DIS段階で審議することになった。詳細検討は出来なかったが,識者の意見も参考にし特に不具合となる部分は見出せなかったので賛成投票を行った。尚、昨年難波精一郎主査の元に SC5のWG3分科会を設置したが活動準備中である。 | |