3.12 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−使用性の手引き

ISO 9241-11:1998
Ergonomic requirements for office work with visual display terminals(VDTs)−Part 11: Guidance on usability

本Partでは、ソフトウエア、或いはそれを含む作業システム全体に関しその人間工学的設計・評価を行う上で、指標とすべき「使用性」(ユーザビリティ)の規定の仕方について指針を与えている。ここでいう「使用性」とは、ソフトウエアを利用してどの程度所与の課題を達成できるか、すなわち、どの程度「仕事ができる、仕事になる」かの度合いである。

「使用性」を、有用さ(Effectiveness)、効率(Efficiency)、満足度(Satisfaction)の3側面をもって 規定している。すなわち所定の目的が達成でき、そのために要したさまざまな資源が少なく、しかも完了する上で不満・不快を感じることが少ない場合には、そのソフトウエア(或いは作業システム)の使用性は高いという見方をする。「使用性」についてのこのような規定内容の提案と、その実施のいくつかの附属書中での具体例からこの規格は構成されている。

最初の ISO/DIS 9241-11 投票は1995-7-6 〜1996-1-6 の6ヶ月間で日本は賛成投票したが否決され、修正版がバージョン2(ISO/DIS 9241-11.2) として1997-01-09 〜1997-03-09 投票で日本は賛成投票した。最終版 ISO/FDIS 9241-11の投票は1997-11-06 〜1998-01-06 の3ヶ月間。日本は賛成投票した。ISO 9241-11 は1998-03-15 にISとなった。

上記のような使用性尺度の規定方法には、人間工学的配慮を「単なるインタフェイス設計を超えてタスク設計へ」及ぼすべきという考えから、日本は従来賛成してきており、FDIS においても同様に賛成投票を行った。DIS原案(1996年1月締切り)への意見として、「使用性」をISO 9000シリーズでの品質 の一部として位置付けようとする原案の意図に強い反対意見が幾つかの国から出され、この意見に沿うようにその後の原案内容は改訂された。ある規格の審議において、他のTCから発行された規格についてどのような配慮を払うべきかについて立場を明確化する必要があることを教訓として得た。

矢頭 記



ISO/TC159 国内対策委員会
Last modified: Jun 12 1998