3.11 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−対話の原則 ISO 9241-10:1996 Ergonomic requirements for office work with visual display terminals(VDTs) −Part 10: Dialogue principles | |
ISO 9241では、全17部構成のうち後半 Part10〜17 でVDT作業のソフトウエアの側面に関する人間工学的問題を扱っている。さらにそのうちの後半 Part14 〜17で「メニュー方式の対話」などの個別の各対話手法について人間工学上の要求事項・勧告を扱い前半 Part10 〜13で全般的、或いは各対話手法に共通する事項についての記述を行う構成を採用している。Part10:Dialogue principles(対話の原 則)は、Part11 〜17の基底をなす部であり、利用者とコンピュータとの対話を設計・評価する際に、人間工学的見地から望ましい対話とは如何なるものかを考える基本的視座を、原則(principle)という形で与えている。 そこで採択されている原則は、Suitability for task(仕事への適合性)、Self-descriptiveness(自己記述性)、Controllability(可制御性)、Conformity with user expectation(利用者の期待との一致性)、Error tolerance(エラーへの寛容さ)、Suitability for individualization(個人化への適合性)、Suitability for learning(学習への適合性)、の7項目である。先頭5原則は、既にDIN 66234 VDU work stations Part 8:Principles of ergonomic dialogue design (1988)で規定されている。この5原則は、利用者への質問紙調査による経験的なアプローチに基づいている。最後の2項目は、Part10 審議の過程で追加された。追加により重複、冗長が生じた嫌いもあるが対話設計への人間工学的配慮をより強調するためと理解している。 1993-02-02 に DIS 9241-10 が作成された。1993-09-16 〜1993-11-16 の3ヶ月投票で日本は賛成投票したが、結果は賛成:8/14、反対:6/19で再修正と決定された。1994-05 修正版が作成されヴァージョン2(DIS 9241-10.2)に対して再度3ヶ月投票(1995-12-21〜1996-02-21)が行われた。日本は賛成投票したが、今度の結果は賛成:16/16、反対:0/24と全員一致で可決され、1996-05-01、ISO 9241-10 はIS化された。 | |