1.2 活動成果の概観

ISO/TC159の規格制定活動は相変わらず活発である。1998年5月1日現在で人間工学関連の業務項目は86件あり、1年前に比べて3件増加した。これは SC5/WG1 温熱環境関連の表面接触温に関する規格で同一規格を高温域、中温域、低温域と3部構成に分離した事情による。従ってこの1年間は実質的に1昨年から継続中の業務項目を対象に審議を行ってきたことになる。

現在ISO規格になっている項目は29件あり、この1年間で6件増えたことになる。いづれも視覚表示装置(VDT)を用いたオフィス作業の人間工学的要求条件に関するISO 9241シリーズの規格でパート1(総論、見直し)、7(画面反射)、8(色彩)、11(ユーザビリティ/使用性)、14(メニュー対話)、15(コマンド対話)である。

ISO業務の進め方としては広く知られた約束があり、新規に提案登録される規格審議項目をNWI(New Work Item)と呼び、参加国の賛成投票が 2/3=66.7%以上で採択後、ジュネーブの中央事務局に規格審議項目として登録されてNP(New Proposal)となる。本格的な国際審議はプロジェクトリーダが執筆する規格原案WD(Working Draft)の討論で始まる。内容上の合意が得られると1回目のPメンバーの投票を経て委員会規格案CD(Committee Draft)に進む。プロジェクトリーダは投票で示された各国コメントを盛り込んだ修正案を作成、WG会議で議論の後、2回目の投票でDIS(Draft of International Standard)に進む。投票コメントを反映した修正案を再度作成し、3回目の投票で最終案、FDIS(Final Draft of International Standard)が確定する。更に4回目の確認投票を経て国際規格(IS)として公式に制定され、全世界に公刊される。

昨年の実績を審議段階の度合い毎に概観すると、1998年5月1日現在でFDISは5件(昨年は3件)、DISは15件(同13件)、CDは13件(同19件)、WDは11件(同9件)、NPは13件(同15件)である。CDが減り、DISやFDISが増えたのは審議が進んだことを意味する。しかし同時に1年位では顕著な進展は見られないものであることも判る。


ISO/TC159 国内対策委員会
Last modified: Jun 12 1998