1.人間工学の規格を広く知ってもらうために
ISO/TC159国内対策委員会委員長
青木和夫

 ISO/TC159で審議している人間工学の規格数は100を超えていますが,我が国での人間工学のISO規格に対する知名度はやや低いかと思います.そこで,これらの規格を日本語で読んでもらえるように,国内対策委員をはじめとする多くの方々の努力でJIS化の作業が毎年進められてきました.そのおかげでJIS化された規格が増えてきて,本年は日本規格協会からJISハンドブック「人間工学」が出版されました.この中には用語・原則に4規格,コントロールセンターが2規格,VDTに15規格が収録されています.このようなハンドブックができたことは人間工学の規格を広く知ってもらう上でたいへんありがたいことだと思っています.

 しかしながら,人間工学に関するすべての規格をJIS化することはなかなか難しいことですし,仮にできたとしてもかなりの年数がかかると思います.このISO/JIS規格便覧はISO/TC159で扱っているすべての規格についての概要を掲載してありますので,JIS化されていない規格についてもその概要を知ることができるかと思います.また,まだ規格になっていない審議中のものもすべて掲載してありますので,人間工学の規格作成の範囲のの全体を見通してもらえるのではないかと思っています.

 さらに,このようなJIS化の他に,ISO規格の解説や使い方といったパンフレットも作られるようになってきました.一般に規格はそれだけを読んでもなかなかわかりにくい文章であり,製品やシステムを設計に関わる規格は複数あることが多く,1つの規格を読んだだけでは不十分であることが多いと思われます.今後は,このような分野別の規格の使い方に関する解説のようなものを作成してゆくことによって,規格の普及をはかってゆく必要があると考えています. 


ISO/TC159 国内対策委員会
Last modified: June 1, 2005