1.ISO/TC159人間工学の国際的動向について
ISO/TC159国内対策委員会委員長
青木和夫

 2002年9月に,ISO/TC159総会がパリで開かれ,日本の代表として初めて参加してまいりました.今回の総会では,ISO/IEC Guide71(高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針)に関連した人間工学の規格を作るための作業をしたい旨,日本から提案をいたしました.総会では,TC159直轄のアドホックグループを作ることが認められ,後日の投票で佐川賢氏((独)産業技術総合研究所)が世話人に選出されました.ISO/IEC Guide 71 は,あらゆる規格を作製する場合に,高齢者や障害のある人々を考慮に入れてもらうための指針で,日本が提案して作製されたものです.アドホックグループでは,TC159人間工学の規格の中にこのGuide 71をどのように取り入れればよいかについての方策を検討し,答申することになっています.現在,国内にも対応したアドホック委員会が設置され,精力的に答申案を作製しつつあります.
 一方,総会ではTC159の取り扱う規格が膨大になってきたため,整理をしたほうがよいのではないかという意見も出されました.確かに100件近い規格を取り扱うようになると,用語や定義の不統一や,内容的な矛盾が生じる場合もあります.従って,いたずらに新しい規格を作るのではなく,不要な規格は廃止したり別の規格と統合したりするとともに,規格間の調整を図ることが必要になってきます.現在,TC159関連の規格で用いられている用語とその提議を収集していますので,まもなく用語集が作製されるものと思われます.ちなみに,国内の人間工学関連規格の用語集(人間工学JIS対訳辞書一覧表)は,日本人間工学会のホームページにアクセスして見ることができます.
 また,規格を実際にどのような場面で使ったらよいのかということも大切な問題です.せっかく多くの規格があるにもかかわらず,存在を知らないために参照されることがないというのは,たいへんもったいないことです.そこで,この数多くある規格をどのように使ったらよいかというガイダンスを今後作ってゆきたいと考えています.
 また,ISO規格は英語で書かれていますので,これを読みこなすためにはたいへんな労力が必要となります.そこで,JIS委員会では,ISOで新たに規格となったものを順次,できるだけ早くJIS規格にするべく作業を行っております.
 この便覧は,ISO/TC159の取り扱っているすべての規格についてその概要を紹介してあります.索引はありませんが,コンピュータ上で検索していただければ目的の規格がみつかると思います.また,ISOのホームページでは規格の検索をすることができますし,電子ファイルで規格を購入することもできます.どうぞご活用下さい.
 


ISO/TC159 国内対策委員会
Last modified: May 31, 2003