1.2 規格を提案する理念、世界観:日本と欧米の違い | |
TC159国内対策委員会委員長 堀野定雄 |
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人間は絶えず未来に向かって前進を求めます。最近、ちらほら便覧の改善を求める声を小耳に挟むようになってきました。「便覧をもっと面白くできないか」と。そこで今回は、執筆を依頼する際まとめ役としてこの状況変化を伝え、規格制定の狙いや必然性等の背景や理念を出来るだけ分かり易く簡潔に紹介して頂くようにつとめてお願いしました。 この視点で編集していてふと気が付きました。規格提案において、ヨーロッパやアメリカ人は日本人やアジア人より熱心です。何故かと考えてみると彼等の世界観が我々と異なる点が上げられます。彼等は自分に都合よく世界の秩序を自分の発案で整備しようと考える。大げさに言えば世界を思い通りに動かそうとする。又、それができると考えるところが雄大と言えば雄大です。一方で図々しいとも言えます。しかし、彼等の思いを実現し、可能にする手続きを、国際的に次から次へと提案してきて合意を勝ち取る。なかなかうまい、したたかとも言えます。この姿勢は、我々も少しは参考に学び取っても良いのではないか。日本人も世界に向かって提案する価値ある使いやすさ、安全、快適性向上面で学問的、工業での知的蓄積が一杯あります。我々が欧米をコピーする時代から彼等が我々をコピーする時代へシフトして良いのではないか。しこしこ、一歩一歩発信して積み重ねていく。このパラダイムが必要なのではないでしょうか。 筆者の言いたいことを別表現で伝えましょう。企業内規格をそのまま国際的に提案して国内規格、国際規格になれば関係企業にも日本産業界にも有利この上ない。日本の企業人は企業内規格と公的規格を別物と考えがちです。しかし、内外を合理的に融合化する発想にシフトすればエネルギー最小で済みます。 日本人は環境変化に敏感です。変化する世界環境に素早く適応しようとするが、環境そのものを自分の思い通りに計画する事を考えない。もっと積極的にこうしたい、ああしたいと世界に向かって考えていいのではないか。こうなるには色々な人々が複合的、日常的に世界の人々と色々な場面でおつきあいして彼らの関心や特徴を日常的に認識するような生活になることが条件かなと思います。知識として理解するのではなく生活の一部として溶け込んだ形で世界と接点を持つ。日本の国際化と言われて久しいが課題は生きたままかなと思います。 以上、日本人間工学会が国内審議団体として取り組んできた人間工学国際規格の作成・制定・投票事業の活動を通して最も強く感じることの一つです。。 | |