1.1 進むISOの電子化:便覧もハードコピーと電子化の棲み分け
TC159国内対策委員会委員長
堀野定雄

「1冊で全てが判る便覧」を目指して発行してきた便覧は「1人で全頁を読む便覧」ではないようです。周辺の学会員や関係者の使い方を聞いてみたところ「日常活動に役立っている」「社内で人間工学をプッシュする時極めて有効」と言う産業界会員、「学会を覗く窓口」「コンパクトなので学会活動の全貌が判る」と行政関係者、「関心のあるところだけ拾い読みする」と言う大学研究者「卒論の参考になる」「就職に有利」と言う学生など様々です。

会員諸氏も便覧とのつきあい方が、どちらかと言えばスタート時点での総論的係わりから各論的係わりへスタンスが変化してきているのではないでしょうか。読者は自分のペースで多様な接し方をしているようです。全頁精読されればISO/TC159に関してかなり精通される事になるでしょうが、勿論1冊全部精読される必要はありません。

これで良いのだと思います。だからこそ編集上最も気配りを要するのは標準化です。即ち、どの頁を開けても一定の様式と精神で情報が整理されていることがこの種メディアのポイントです。便覧を「ユーザ(=読者)オリエンテッド」に設計しなければなりません。

便覧は「日本人間工学会第37回大会総会資料 別冊 平成7年度ISO/TC159(人間工学)国内対策委員会活動成果報告」(1996)として平成8年5月にスタートしました。以後毎年5月発行で今回で6冊目になります。「人間工学国際規格・JIS便覧」(1997)B5サイズ、「人間工学ISO/JIS規格便覧」(1998、1999)A4サイズ、「人間工学ISO/JIS規格便覧2000」。判り易く整理しやすいので西暦年号を毎年更新する方式を採ります。今年は大会が北海道網走市で9月に開催される関係上、臨時総会が5月東京品川で行われます。便覧は、規格原案審議運営の節目を年度末(3月末日)にしている関係上、総会に合わせて発行します。

この機会に過去5年間の「ISO/TC159の動向」「はじめに」と題する国内対策委員長の巻頭言的なコラムの見出しを以下に並べてみました。
  • 平成 8年(1996) :人間工学国際規格便覧の発行、活動成果概要、1)審議項目及び経過と投票対応(ISO/TC159)、 2)国際会議出席状況、3)JIS委員会:延べ22回開催、4)平成8年度事業計画
  • 平成 9年(1997) :1.1 はじめに、1.2 活性度の高い組織・業務とその背景、日本の関わり、1.3人間工学規格の特徴、1.4規格制定作業は独創的合意形成そのもの
  • 平成10年(1998) :1.1 はじめに、1.2 活動成果の概観、 1.3 IEA(国際学会)はISOとも交流する舞台、1.4対象を広く取るISOの人間工学、 1.5 新しい手続き規格:人間中心のユーザビリティ管理規格の誕生、 1.6 新しい動向:アクセシビリティ規格とユーザ母集団の拡大、1.7熱心なCEN(欧州規格)と強調
  • 平成11年(1999) :1 規格便覧好評で編集刷新、2 益々活性化するTC159、3 注目を浴びて重要度が増す、4戦略的接近を
  • 平成12年(2000) :1 進むISOの電子化:便覧もハードコピーと電子化の棲み分け、2活発な成果:VDTシリーズ完了、ユーザビリティ管理、制御室規格など、3 仲間を増やす方向の国際協力:CEN主導の規格開発と実質的調整
JENCの変化、ISOの変化と共に電子化の急速な発展など時代の変化が判って面白いです。今回も昨年に引き続き印刷部数は1000部としました。ハードコピーは主に全国大会参加者、理事、関係委員用及び日本語の分かる韓国やDINなど外国の関係者に限定使用し日常的には学会のホームページをご利用いただく棲み分け方針に変更はありません。


ISO/TC159 国内対策委員会
Last modified: Jun 5, 2001