日本人間工学会東海支部2024年研究大会開催報告

大会長 松河剛司(愛知工業大学)

はじめに

2024年11月2日(土),日本人間工学会東海支部2024年研究大会が愛知工業大学(豊田市)にて開催されました.当日朝は大雨に見舞われ足元が悪い中でしたが,74名(うち学生38名)に参加いただくことができました.

一般演題

一般演題では26件の発表があり,2つの会場で各会場3セッションずつ発表が行われました.プログラムの詳細は本大会Webページをご覧ください.各セッションでは,自動車・ドローン・パワーアシスト装置・デザイン・看護・スポーツ・高齢者などバラエティに富んだ分野・対象について人間工学的な実験・評価・分析結果の発表が行われ,活発な議論が交わされました.

企画セッション

企画セッションでは日本人間工学会の取り組みとして,三重県工業研究所の松岡敏生先生による人間工学専門家認定機構の紹介と,中京大学の藤掛和広先生によるグッドプラクティスデータベースの紹介が行われました.
 

特別講演

特別講演では愛知工業大学の徳久良子先生による「生成AIを支える技術」の演題でご講演いただきました.研究活動はもとより日常生活へも浸透してきている生成AIについて,実際に入出力の結果を披露して頂きながら,分かりやすくお話しいただきました.

若手奨励賞

プログラムの最後に,若手奨励賞の発表および授与式がありました.最優秀奨励賞として,中山果さん(名古屋大学大学院),西村匡弘さん(名古屋大学大学院),優秀奨励賞として高橋大地さん(三重大学大学院),鳴海颯人さん(中京大学),原田舞さん(中京大学)の5名が選出され,支部長の横山清子先生より表彰状が授与されました.

懇親会

大会終了後に大学構内の別会場にて,懇親会が開催されました.20名を超える方々にご参加いただき,参加者同士の交流を深めました.
懇親会中,参加いただいた学生と支部役員との交流の中で,新しい試みとして本稿の以下に続きます「大会に参加した学生より」の企画が立ち上がり,実現することができました.

大会に参加した学生より 三岩功季(三重大学大学院・院生)

本大会の一般演題では私も発表させていただきました.特に質疑応答では,時間があっという間に感じられるほど多くの参加者から意見をいただくことができ,非常に有意義な時間となりました.また,他の参加者の演題を拝聴していく中でも新たな知見を得ることができ,これらは私にとって今後の研究活動の参考になると共に大きな刺激にもなったと確信しています.
全演題終了後には研究奨励賞の授与式が行われました。昨年,私もこの場で優秀奨励賞をいただきましたが,今年は受賞者全体のレベルが一層向上しており,東海支部に所属する学生の研究レベルが高まっていることを強く実感しました.また,今年の6月に千歳科学技術大学にて開催された日本人間工学会第65回全国大会での表彰も併せて行われ,私の演題内容が最優秀研究発表奨励賞として表彰されました.東海支部からの初受賞を大変嬉しく思うと同時に,昨年東海支部の方々からいただいた貴重な意見やアドバイスがあったからこそ得られた成果だと感じています.

大会に参加した学生より 鳴海颯人(中京大学・学生)

私は本大会で「ドローン操縦映像の注視に伴う映像酔いの評価」というタイトルで発表させていただきました.近年,遠隔操縦を用いた様々な作業が行われていますが,遠隔操縦をする際に画面を見て操縦すると映像酔いが発生することが指摘されています.本研究では,視線計測によって映像酔いの評価が可能ではないかということを検討しました.本研究の結果として,安静時の視線データによる評価指標の有効性が示されましたが,リアルタイムの視線データによる評価指標の有効性は認められませんでした.
発表の質疑応答では,非常に貴重なコメントをいただきました.質疑応答では,映像酔いを判定する閾値の必要性や,ドローン操作場面の再現性などについて質問していただき,今後の研究に有益な気づきがありました.他にも様々なご意見を頂戴したことをこの場をお借りして感謝申し上げます.
本大会が最初の学会発表の機会だったことから,発表の1週間前から直前まで非常に緊張していました.ただ,発表が始まると,話すことに精一杯で緊張を忘れていました.発表の準備で学内の先生方や先輩方にご協力いただきましたので,その期待に応えるためにも一生懸命に発表しようとしたことが,良かったのかも知れません.
本大会で発表した私の研究について,大変ありがたいことに研究奨励賞の優秀奨励賞を受賞いたしました.初の学会発表で頂けたことは大変名誉なことであり,今後の研究により一層注力していきたいと思います.

おわりに

微力な大会長ではありましたが,本大会は参加者や役員の方々,多くの皆様のおかげをもちまして,盛会のうちに終了することができました.この場を借りまして,皆様に深く感謝申し上げます.