人間工学測定技法講座 第15回レポート

 

第15回:「看護学領域における人間工学研究の活用」レポート

■開催日時  2018730日(金) 16:3019:30
■開催場所  ウインクあいち(愛知県産業労働センター)18階 1801会議室
■参加者   7名

講師プロフィール


大平 肇子
三重県立看護大学教授
看護師・助産師。
大阪府立大学看護学研究科博士課程修了、博士(看護学)。研究テーマは、更年期女性の健康支援、リラクセーション、女性テレワーカーの健康支援など

 

レポート

看護の実践現場には医療従事者や患者さんが不便に感じていることや困っていることが沢山あります.
日常的に当たり前のように使っていると,その不便さに本人自身が気付いていないことも多くあります.その一例として,滅菌手袋の事例を紹介されました.滅菌手袋を用いる際,看護師・助産師さんは手袋を汚染させない技能の獲得のために練習を繰り返すそうですが,分娩の際に用いるシーツのデザインを工夫することで作業性のみならず衛生面も担保できることを実演をもとに紹介されました(まさに目から鱗・・・でした).このように,医療現場で無意識・意識的に我慢している不便さに対し,少しの工夫で使いやすくなったり,安全・衛生面の向上に貢献することに役立つ技術が人間工学であることを紹介されました.

また,学術的な観点からは,人間工学と医療との関わりについて文献検索をされた結果も紹介し,人間工学誌に掲載されている過去の論文を順次レビューしながら,多様な場面で人間工学が学術的にも貢献してきていることを解説されました.

講義スタイルは大平先生らしく,参加者全員参加型の,講師と受講者間が近いアットホームな研修会となりました.全員の自己紹介からはじまり,何か困っていることについて尋ね,参加者全員でその解決策をアドバイスしたり,参加されていた各専門家の先生に回答を求めるなど,インタラクティブに受講者と常に対話をしながら進める講義スタイルはとても新鮮でした.

受講者アンケート結果

本日の講座に関するご質問・ご意見など(一部抜粋)

<受講生の声>
[講座についての質問、意見、感想]
・未知の分野(看護学)の話が多くありましたが,未知だからこそ自分の研究でも活かせそうなヒントが見つかった気がします(気がするだけかもしれませんが・・・).また,他分野の先生の話も伺えて,とてもおもしろかったです.

・教わったこと(手技など)をそのまま受け入れてしまいますが,もっと良い方法があるのではないかと疑問を持つことが,人間工学の発展には必要なのだと思いました.ただ,何でも最先端になればよいわけではなく,そういった変化が拒否される環境もあるというところが,難しいところだと感じました.

・ものや仕組みの工夫などが進む中で,結局最後に必要となるのはそれを受け入れようとする我々自身の考え方なのだと感じました.せっかく多くの方が様々なことに気付き,工夫をこらし,役立つモノを開発させようとしてくださっているので,それを受け入れる柔軟さや価値観を持って行きたいと思いました.

・参加者はそれぞれの分野で困っていることがあって,人間工学的にヒントが得られないかと思い,参加しているように感じた.もっと深く話し合える場や講義内容となるべく,それぞれに還元できるようにすると良いと思いました.関心が広がる良い機会となりました.

・人間工学の本質的な改善の話から,アカデミックな論文の話まで,大変勉強になりました.ありがとうございました.

・看護と人間工学のつながりがよくわかりました.実験研究をやってみたくなりました.