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人間工学規格

人間工学規格

人間工学規格の概要

世の中が豊かになるにつれ、安全、安心で使いやすい製品や生活環境へのニーズが国の内外で急速に高まっています。このようなニーズを実現するために必要となる基本的かつ共通の技術的取決めの1つが人間工学規格です。日本人間工学会では、工業標準化活動の一環として国際標準化機構における人間工学国際規格(ISO規格)の制定に係る種々の審議を行っております。また、この審議の中で制定された人間工学国際規格のうち、我が国にとって有益なものについては日本工業規格(JIS規格)として発行する活動も進めております

工業標準化とは

標準化(Standardization)とは「自由に放置すれば多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化すること」です(日本工業標準調査会 )。この標準化によって制定される「取決め」が標準(=規格:Standards)です*。

工業標準化とは、工業分野における標準化のことです。我が国では、国が定める工業標準としてとして日本工業規格(JIS) が制定されています。工業標準化の役割は、工業に関係する「もの」や「事柄」を対象に、設計や生産等における過度な多様化、複雑化、無秩序化を避けるため、様々な観点から技術文書としての「規格」を制定し、「統一」、「単純化」、「秩序化」を図ることにあります。工業標準化を推進する主な国際機関として国際標準化機構 (ISO: International Organization for Standardization)、国際電気標準会議 (IEC: International Electrotechnical Commission)等があります。我が国では、経済産業省内に設置された日本工業標準調査会 (JISC: Japanese Industrial Standards Committee)が、工業標準化に関する調査や審議を行うとともに、ISOおよびIECに対する我が国唯一の会員として国際規格開発にも参加しています。

*工業標準化法では「標準」と「規格」を同じ意味として用いてますので、人間工学規格のページにおいても「標準」と「規格」を同じ意味として用いております。

人間工学ISO規格とは

日本人間工学会では、JISCの委託を受け、ISOの人間工学国際標準化活動に参加しております。日本国内で生産した生活製品や機器、あるいは作業環境等を、国内だけでなく海外においても有効に使用できるかたちで提供するには、これらの製品、機器、作業環境等を設計する段階から、利用者の体格や身体機能、文化や生活習慣等における国際的な整合性を考慮して、なるべく統一・単純化した共通の基準や指針で機器や部品の仕様を決めて設計し、利便性、安全性、快適性等を確保する必要があります。これによって、生産コストの大幅な削減や国際競争力の強化を実現することも可能です。ISOが制定するこのような基準や指針が人間工学ISO規格です。

人間工学ISO規格では人間工学的設計の原理・原則等の最も基本的な領域、人体寸法や姿勢・動作に関する領域、機器操作時の情報の提示や入力に関する領域、温熱、照明、騒音等の物理環境の領域など、非常に多岐に渡る規格を扱っています。最近では、これらを横断的に貫く規格として、高齢者・障害者配慮を重視したものも制定されました。2010年5月現在で106件の人間工学ISO規格を発行しておりますが、このうちの高齢者・障害者配慮に関連した規格の提案や作成には日本が大きく貢献しております。

人間工学JIS規格とは

ISOで制定された人間工学国際標準のうち、我が国の工業分野、産業分野にとって有益なものについては、日本工業規格(JIS規格)として発行しております。日本人間工学会では、人間工学ISO規格のうちJIS規格にすべきものを検討し、それをもとにJIS規格原案の作成を進めております。また、ISO規格として制定されてはいないがJIS規格として制定することが望まれるものについての種々の審議にも日本人間工学会は参画しております。これらの活動を通して制定された規格が人間工学JIS規格です。

これまで、人体寸法計測方法、精神作業負荷に関する原則、コントロールセンターの設計等に係る人間工学規格、報知音や視覚標示物、情報通信機器等に関係した高齢者・障害者配慮規格等がJIS規格として発行されております。既に発行された約70件の人間工学関連、高齢者・障害者関連のJIS規格のうち、約40件を日本人間工学会が中心となって作成いたしました。


 


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