ED-149 ホーム縁端警告ブロック
概要
製品の概要
視覚障害者の安全のため,鉄道駅プラットホームの縁端部には点状ブロックが以前から敷設されていました。しかし,点状ブロックにはプラットホームの内方と外方を識別する手掛かりが無いため,視覚障害者が安全な方向を誤認して線路に転落しかねないと指摘されていました。点状ブロックに線状突起(内方線)を付加することにより,視覚障害者がホームの内方を識別することが可能になりました。
ホーム縁端警告ブロックは2002年に国土交通省の「バリアフリー整備ガイドライン」に採用され,現在では全国の駅に導入されています。また,2014年にはJIS規格にも採用されました。
人間工学的配慮視点
内方線の配置と本数は,約40名の視覚障害者による評価実験の結果に基づいて決定しました。内方線の配置と本数が異なるプロトタイプを5種類試作し,「新型ブロックであることが正しく認識されるか?」「内方線のある側が正しく認識されるか?」「使いやすいのはどれか?」等の検討を重ねました。その結果,内方線の位置が点状突起(点状ブロックの突起)から近すぎても遠すぎても内方線が認識されにくいこと,内方線は2本あると認識されにくいことなどがわかりました。こうして点状突起から90mm離して内方線を1本だけ配置するデザインが生まれました。
開発秘話
視覚障害者誘導用ブロックは黄色く着色されているのが一般的ですが,試作した評価用プロトタイプには敢えて色をつけませんでした。それは,残存視力をもつ視覚障害者が色を手掛かりに評価する可能性を排除するためでした。足と白杖を通した触覚しか使えない厳しい条件で行った検討が,安全のためには役立つと考えています。
また,全国のプラットホームに敷設済みの点状ブロックをすべて新しいブロックに入れ替えることはコスト的に現実的でないことから,新しいブロックが導入されやすいように,内方線のみを既設の点状ブロックに後付け施工できるように配慮しました。
評価結果データ
・大野央人「ホーム縁端警告ブロックの開発」JREA, 46(1):28911-28913, 2003.
・大野央人「視覚障害者誘導用ブロックによる駅ホームの安全対策」労働の科学, 68(4):18-21,2013
特許・意匠登録番号
早く全国に普及して欲しいとの願いから,特許は申請しておりません
推薦者
鈴木浩明
お問い合わせ
- 企業名・担当部署名
鉄道総合技術研究所 人間工学研究室
- 担当者名
大野央人
ono.hisato.06@rtri.or.jp
- 製品発売時期
2002年12月 「バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編)」に採用 2014年5月<br />JIS T 9251規格(視覚障害者誘導用ブロック)に採用
- 更新日
2015年06月23日