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人間工学応用事例(GPDB)・GPDB表彰

ED-166 視覚障害者が使いやすい石突

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概要
製品の概要

 本製品は、視覚障害者が移動手段として日常的に使用している白杖の先端の部品である「石突」である。視覚障害者が白杖歩行する場合、この石突を路面上に接しながら白杖を左右にスライドしたり、タッピングしたりして路面状況、危険察知、環境把握を行う。そのため石突には耐久性、振動伝達性、操作性など数多くの性能が必要である。しかし、これまで石突に関する製品開発は殆どなされておらず、約30年前から形状や性能は変わっていない。本製品では、先の性能を有する新しい石突を開発した。さらに従来の石突には無かった視覚障害者自身が破損や摩耗した時の石突を交換でき、また、交換しない場合でも補助的な石突が使用できたりする交換容易性と補助機能性を有するものとした。こうすることで視覚障害者にとって、“使いやすい石突”となった。

人間工学的配慮視点

 視覚障害者は、石突を路面に接しながら操作した際に生じる振動や打突音から環境を把握し、単独歩行を行う。この白杖操作は繰り返し行われるため、視覚障害者の上肢への負担は大きい。また、石突から生じる振動や音が不明瞭であれば環境把握の際の視覚障害者の精神的負担は大きい。そのため石突は、耐久性や振動伝達性の向上のため従来の材質と異なるものを使用し、性能向上を実現した。また、操作性向上のため石突本体が回転する形式に変更し、人の感覚器と運動機能への配慮を行った。

開発秘話

 白杖用の石突は約30年前から殆ど機能も形も変わっていはいない。現在、石突は10種類存在しているが、どの石突が視覚障害者の歩行に最適であるのかについて議論されてはいなかった。そのため、石突の製造者が形状や寸法、重さ、材質などは自由に決めて製作しており、共通仕様や安全性能評価の資料は存在していなかった。その理由は、利用者の数が少ないため、企業などで組織だって製作するほどの魅力的な市場ではなかったからといえる。本製品を開発するにあたって、基礎となる資料は全く存在しておらず、最初にユーザーや指導者の石突に対する要望などの意見を聞くため全国の盲学校にアンケート調査を行った。その調査によって求める機能性について明らかにした。その機能性とは耐久性、振動伝達性、操作性、交換容易性の4つの観点であった。これらの性能を有する石突を開発するために幾度も設計、試作、評価を繰り返し行った。

金沢大学 吉岡 学

評価結果データ
特許・意匠登録番号

特許6735481

推薦者

広報委員会

お問い合わせ
企業名・担当部署名

金沢大学 附属特別支援学校

担当者名

吉岡 学

e-mail

ma-yoshi@staff.kanazawa-u.ac.jp

その他連絡先

中部工営株式会社 早苗 貴史

製品発売時期

2024年10月予定

更新日

2023年12月22日



 


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