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人間工学応用事例(GPDB)・GPDB表彰

ED-163 血管撮影システム「Trinias」

画像

概要
製品の概要

 高い画像処理技術により低被ばくかつ高画質を実現した血管撮影システム(脳や心臓などに細く長い管(カテーテル)を挿入して脳梗塞や心筋梗塞を治療するカテーテル手術や、血管系疾患の検査・治療などに使用されるX線透視撮影装置)

人間工学的配慮視点

 カテーテル検査・治療において、医師一人でカテーテルの挿入と装置の操作を行うケースが多くなってきている。その場合、医師は的確で安全な検査・治療を行うために、患者やモニターに表示されるX線透視画像を注視しようとするが、コンソール上の遠い位置にレバーやボタンが配置されていたり、同じようなレバーやボタンが複数存在してしたりすると、操作するために一歩動いたり、コンソールに視線を移動させて確認したりしなければならない。
 そこで、本取り組みでは、まずカテーテル検査・治療の現場に入り込んで観察調査を行い、コンソールに関する課題・要求事項を洗い出した。次に、それらを基に解決策を検討してプロトタイプを作成し、プロトタイプの詳細度を上げながら、医師による受容性評価を繰り返し実施した。これらのプロセスを経ることにより、医師一人でもストレスのなく操作できる血管撮影システムのコンソールを実現した。

主な人間工学的配慮視点は以下のとおりである。
・同じ立ち位置から操作できるように、コンソールの全長を短くした
・複数のジョイスティックを見なくても識別できるよう、形状を変更した
・装置の稼働部位毎に、押す・ひねるなど操作方法を対応付けた
・よく使う機能のボタンを、カスタマイズしてタッチパネルに配置できるようにした

開発秘話

プロトタイプの作成と医師による受容性評価を繰り返し実施したが、初期のプロトタイプは、発泡スチロールで作成したコンソールに、竹串でレバーを刺したり、両面テープでボタンを貼ったりしたようなものであった。社内からは、そのようなラフなものを医師にお見せするのは失礼ではないかという声が上がったが、実施してみると、医師からは「別件でプロトタイプの評価を経験したことがあるが、綺麗に仕上がったものを持って来て、形だけの評価をしているという印象を受けた。今回のように、まだ意見を反映できるラフな状態で評価できるのは良い」という声をいただき、本取り組みに対して好感触を得ることができた。それにより、社内で活動の必要性や効果が認識されるようになり、今後の製品開発においても、積極的に人間工学的な取り組みを行う契機となった。


評価結果データ
特許・意匠登録番号

特許7238813、特開2021-87534、特開2022-112767、意匠登録1705623、意匠登録1705624、意匠登録1703630、意願2022-027817

推薦者

水本 徹(認定人間工学専門家)

お問い合わせ
企業名・担当部署名

株式会社島津製作所 医用機器事業部グローバルマーケティング部 / 総合デザインセンター

担当者名

後藤 泰輔、水本 徹

e-mail

medical@group.shimadzu.co.jp

掲載URL

https://www.med.shimadzu.co.jp/concept_trinias/

製品発売時期

2023年4月

更新日

2023年09月15日



 


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