GL-114 iCLO（アイクロ）
ガイドライン概要
概略
情報機器を使用する方に向けて「目を閉じて目を休める」ということについてのガイドラインを提案します。
現在、情報機器作業時の休止に関して、いくつかのガイドラインが設けられています。しかし、これらの従来のガイドラインによる休止では、定時的な休止のため、受動的になりがちです。また、休止時には、基本的に作業自体も中断して休止しています。現代人が近くを見る時間は劇的に長くなっています。特に情報機器の長時間の使用は、目の疲れや乾き、頭痛、首や肩や腰のこりなど様々な症状の原因になります。これらの症状はコンピュータービジョン症候群と呼ばれ、大きな社会問題となっています。
このような問題に対して、『iCLO（アイクロ）』という新しい目を休める方法を発案しました。iCLOは「漫然と目を開けているだけで、実際には目を閉じても支障がない時には、安全な環境を確保した上で短時間でも目を閉じること」と定義されます。
iCLOでは、休止の長さやタイミングを自分で選択します。また、iCLO実践時には、目だけは休止していますが、作業自体は休止せず、視覚を要しない作業は続行しています。
対象利用者・活用場面など
対象者は、目への負担が増大しているすべての現代人です。
特にリモートワーク時は、周囲の環境に左右されないため最適です。
従来のガイドラインでは「休止時には遠くを見ること」が推奨されていますが、iCLOは広い空間がなくても活用できます。
情報機器作業時以外にも、動画を観ている時、ゲーム機の使用時、入浴時、電話中など、日常生活の様々な場面で可能です。
使い方の説明
ガイドラインを使うことによる利点、期待される効果など
- データの打ち込みを行うパソコン作業者でも、iCLOは総作業時間中の約５％で実践可能でした。iCLOを習慣化することにより、目を休める時間は膨大になると推算されます。
- 目の自覚症状（疲れ、乾き、かすみ）が軽減されました。
- iCLOを実践している合間の目を開けている時間帯で、まばたきの回数が増えました。このことにより、ドライアイの改善が期待されます。
- 視覚情報が遮断されることで、他の感覚が活性化し、相対的に作業の効率が向上する可能性があります。
- コストがかかりません。
ただし、以下のような注意点があります。
・周囲の安全を確認し、周りの人の理解を得た上で行ってください。
・コンタクトレンズの装用時は、深いまばたき程度にしてください。
・未成年者では、指導者や保護者の管理責任のもとで行ってください。
ニューノーマル時代の新しい目の休め方です。
iCLOは、外界からの視覚情報を取捨選択することにより、コンピュータービジョン症候群の改善やパフォーマンスの向上に大きな役割を果たすことができると期待されます。
活用事例・文献・URLなど
文献
1）Fujita H, Sano K. iCLO: A new method for resting the eye. Journal of Ergonomics. 12, 2022, 304．
2）藤田 博紀, 佐野 研二. iCLO（アイクロ）～ニューノーマル時代の新しい目の休め方～. 日本人間工学会誌. 58(5), 2022, 213-222.
3）Fujita H, Sano K, Baba T, Tanaka T, Ohno-Matsui K. Blind working time in visual display
terminal users. J Occup Health. 61(2) , 2019, 175-81．
4）Fujita H, Sano K, Takeuchi K, Kikutani T, Azuma M, Tanaka T. Eye Closed Learning Time by Japanese during an English Examination.Heliyon. 6(10) , 2020, e05072．
iCLOは、読売新聞（2021.6.18）、科学新聞（2023.1.20）、ScienceJapan（2023.2.15）にも掲載されました。
図表ファイル・参考資料ファイル
オリジナルの出典
藤田眼科、桑野協立病院 藤田博紀
藤田眼科 藤田春香
東京医科歯科大学眼科臨床教授 佐野研二
株式会社イトーキ 八木佳子, 大高万奈
推薦者
産業医科大学教授 榎原毅
お問い合わせ
- 企業名・担当部署名
藤田眼科
- 担当者名
藤田博紀
- 更新日
2022年12月23日
