会報・人間工学専門家認定機構 Vol.71

Vol.71 2023年9月19日
会報・人間工学専門家認定機構広報担当

目次

報告

日本人間工学会ワーク・アーゴノミクス研究部会セミナー 第5回 働く環境「ディスプレイ」

青木和夫(日本大学)

これまで、快適で効率的な仕事環境を自ら整えたり、一般の方へ適切な作業環境についてアドバイスできたりする知識と技法を学ぶ場としてワーク・アーゴノミクス研究部会と人間工学専門家認定機構の共催で「働く環境」についての連続セミナーを開催してきました。今回は第5回として、「ディスプレイ」を取り上げました。テレワーク環境には不可欠なディスプレイについて,様々なワークスタイルでの課題点や最新の開発状況について,人間工学の観点からお話しいただきました.参加者は、認定人間工学専門家を中心に日本人間工学会会員や一般の方など57名でした。

  • 開催概要
    【開催日】2023年1月18日(水)17:30~19:00
    【開催形式】オンライン
    【講演内容】
    多様化したwork style に対する電子情報ディスプレイの最新動向と人間工学
    久武雄三(静岡大学イノベーション社会連携推進機構)

ワークスタイルの多様化とLANやWi-Fiの普及で,オフィスだけでなく在宅や移動中など,あらゆる場所で仕事ができるようになった.使用機器もデスクトップPCからノートパソコン,タブレット,スマートフォンなどへと多様化している.

CRTからフラットパネル,フィルムディスプレイと薄型軽量化が行われるとともに,大画面化やヘッドマウントディスプレイのように広画角化が進んだ.性能は飛躍的に向上したが,人間工学的な課題の解決には至っていない.

スマートフォンでは高解像度,高精細化,軽薄化の他,ボーダレス化やエッジの局面化,異形(長方形でない)対応,折りたためるフォルダブル化などが進んだ.タブレットPCではスマートフォンより画面が大きく,入力にはペンやディスプレイキーボードが用いられ,ポケットサイズではないがノートPCに近い利便性がある.ノートPCは,タブレット的な仕様からデスクトップ並みの機能を持つものまで多様である.画面は光沢画面と非光沢画面が市場では1:1の割合であり,画面を傾斜させて使用することでドライアイ対策になると言われている.

バーチャル・リアリティ(VR)などに用いられるヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)は画角が広く(左右は180°前後)頭の動きに連動して映像が表示される.このため,ディスプレイの存在が希薄であり,感映像情報以外の情報がないことが特徴である.このHMDの人間工学的ガイドラインや評価方法の国際規格化が日本主導でISO/TC159/SC4のWG2とWG4で行われている.

ディスプレイの人間工学では「使い易い形態」と「見易い,読み易い,疲れにくい画質」が要求される.画像の物理的特性と使用者の視覚特性・使用特性を考える必要がある.使用特性では斜めから見るなど,視野角によってコントラストや画像歪度が異なる.視覚特性では,明るさの錯覚や色の見え方などを考慮しなければならない.またディスプレイの生体影響としてブルーライトの問題があるが,夜の使用を避ければむしろ活性化の効果もあることから,すべてが悪いわけではない.

最後に演者の研究テーマである色を忠実に再現する画像システムについて紹介があった.このシステムによって,遠隔医療,工場の品質管理,文化財のデジタル保存や教育に応用できることが期待できる.

報告

報告:CPEメンバーのコミュニティ・チャンネルについて

山本雅康(ふしみや)

 2023年4 月末からスタートしたCPE会員コミュニティ・チャンネル『JES Certified Professional Ergonomist』は、現在、参加者は53名(専門家:37名、準専門家:13名、アシスタント:3名 2023年8月末現在)、投稿数は33です。自身の気になるイベントやネット記事、CPEの活動状況など投稿し合い、会員同士のタイムリーな情報交換ができるようになりました。

ここでは、これから参加しようと考えている方のためにコミュニティチャンネル参加手順について再度説明させていただきます。


(出典:LinkedIn JES Certified Professional Ergonomist https://www.linkedin.com/groups/14107946/

CPEメンバーコミュニティチャンネルへの登録手順:
コミュニティチャンネルは、質の高い双方向コミュニケーションを、負担のかからない方法で実現するためにビジネス特化型SNS『LinkedIn』というSNSのグループ機能を利用しています。コミュニティメンバー以外はコンテンツを閲覧したり、投稿することはできません。
以下は、参加のための手順と投稿のルールです。

<参加手順>
1.LinkedInを使用していない方は、登録してください。(https://www.linkedin.com/)(無料です。)
2.検索窓で「JES Certified Professional Ergonomist」を検索してください。
3.「参加」ボタンを押してください。
4.グループ管理者が会員であることを確認できしだい閲覧・投稿ができるようになります。

<ルール>
できること:
〇チャンネルに登録されたメンバーの方は自由に情報を発信や、発信された情報に対して反応、返信することができます。
〇発信・共有していただきたい情報
・CPEメンバーに共有したい開催予定の人間工学分野に関連するイベントなどのお役立ち情報
・CPEメンバーに関連性のある求人情報
・CPEメンバーに役立ちそうなその他の情報
・CPEメンバーへの業務に関連する相談、質問

できないこと:
以下の情報を見つけた場合、管理者が情報を削除することがあります。
・特定の個人、団体を誹謗、中傷、避難するような発言
・CPE活動に関連の無い、特定団体・グループへの勧誘
・メンバー間の個人的な連絡
・その他、CPEの活動と逸脱した内容の情報

今後、より多くの会員の方に参加していただき、会員間のより活発な情報共有・意見交換が実現されることを期待しています。

専門家の新規登録

(50 音順、敬称略)

  • 認定人間工学専門家
    (2022年11月1日認定)古賀 弘子、平田 一郎
  • 認定人間工学準専門家
    (2023年1月1日認定)棚町 悠暉、小橋 陽子、辻 華央留、佐久間 菜月、宮内 萌衣、井上 大成、髙橋 瑠香、小西 亮輔
    (2023年4月1日認定)田河 琴音、山口 洋輝、夏 舒云、栗原 裕子、小松 新始、黒田 千尋、太田 裕介、佐藤 芽生
    (2023年7月1日認定)小野 隆一、佐久間 文弘、石津 光豊、Dr.K. Vimalanathan、Mani Murugesan、髙田 蛍佑

認定状況

2023年9月2日現在(2023年4月1日からの人数増減)

  • 人間工学専門家     208名( – 4名)
  • 人間工学準専門家    181名( +3名)
  • 人間工学アシスタント 17名( ± 0名)
  • シニア人間工学専門家   16名(  +3名)

編集後記

前回発行から約7か月が経過してしまい、季節は残暑となっております。今号の発行が遅れまして申し訳ございません。暑い日が続き、毎日のようにスマートフォンから「熱中症警戒アラート」のお知らせが届きます。クールビズは2005年に環境省が省エネ等を目的に夏期の衣服の軽装化を進めたものですが、熱中症警戒アラートが出されるほどの過酷な暑さに対しては衣環境だけでなくもっと突っ込んだ働き方に関する対策も必要です。「暑いなぁ」というだけでなく、CPEとして暑熱環境下での我が職場の働き方について何かアイデアを出していきたいと思います。(広報担当 松岡)

過去のコラム一覧