理事長ごあいさつ
理事長就任のご挨拶
鳥居塚 崇
2022年7月
一般社団法人日本人間工学会第8期(2022年〜2024年)理事長を務めさせていただく鳥居塚崇です.1964年に本学会が誕生してから60年弱が経ち,また法人化されてからも早いもので8期目となります.このような歴史ある学会をまとめていくことに責任を感じつつ,学会員,学会,社会のために尽力してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします.
日本人間工学会を取り巻く環境は,一般会員や賛助会員の減少,またそれに伴う収入減等によって年々厳しくなっていると感じます.第6期および第7期は若手支援や企業活動支援の取組みに代表されるように,学会の活性化に向けて進み始めました.しかし「人間工学」自体を活性化するには,もう少し外部にも眼を向ける必要がありそうです.私たちのように人間工学に常に携わっているメンバーはその重要性を理解していると思いますが,社会における人間工学の捉え方はまちまちで,必ずしも人間工学の意義や役割,重要性が十分に伝わっているわけではないように思えるからです.したがって第8期は,第7期を引継いだ学会活性化に加え,人間工学のプレゼンス向上を命題と捉えて活動したいと考えています.
そのためには,人間工学コア・コンピテンシーの浸透, JESとCPEJとの連携による「理論と実践」の体系化,人間工学の社会への浸透と情報発信,が必要であると考えます.IEAは2021年に人間工学のコア・コンピテンシーを大きく改訂するとともに,そのウェブサイトで人間工学に関する説明も改訂しました.これまでの人間工学(とその考え方)だけでは人間工学の社会的需要は少なくなるのではという危機感に端を発し,議論が進められたもの(Dul. J.et. al., 2012)です.したがってIEAの改訂は,人間工学を取り巻く環境の変化,および時代の変化に即して行われたものなのです(詳しくは国際協力委員会メンバーによるリサーチイシュー:「人間工学者が今実践すべき3つのこと-IEA改訂コンピテンシーから学ぶ-」を御参照ください).このような「時代に即した人間工学」を社会に広め,社会から受け入れられるには,まずは会員のみなさまの理解が欠かせません.会員のみなさまに御理解いただいた上で,この「時代に即した人間工学」を積極的に社会に発信いただきたいと思います.
社会は急速なテンポで進んでいます.日本人間工学会もこれまでとは異なるフェーズに突入しないと時代に取り残されてしまうのではと感じます.第8期は異なるフェーズに突入すべくフレッシュな顔ぶれでチャレンジし,「人間工学」が社会に受容され,「人間工学」の社会的なプレゼンスが向上し,メンバーのみなさんが「人間工学に関わっている」ということの意義を感じることができるようになる…ということを目指したいと思っています.